密閉空間の中で追跡者に追われる、というパニックホラーの基本を抑えており、タテヨミネームとしてコマ数・セリフ量も適切で投稿作の中でも特に読みやすく完成度の高い作品でした。またストーリーの展開も早く、読者の興味を飽きさせない工夫が見受けられました。より恐怖を植え付けるためにオープニングなどにも追跡者の描写を入れると有効です。

実在の街を舞台に、それぞれのキャラクターがテンポ感よく動いており、カメラアングル・キャラクター造形・コマ割りなどに多くの読者の興味を惹く工夫が見受けられ高評価です。テンポが速い一方、読者に与える物語の情報量が多く見受けられたところもありました。適切な量かどうかというところとその情報を読者が興味を持てる状態かを見極めて進行してみましょう。

「なろう系」の世界観で始まっていますが、話の軸を主人公と女性との恋愛関係で進めており「なろう系」を知らない女性読者にもわかるような作り方で好印象です。一方、キャラクターの情報が少なく、感情移入しにくいのは残念でした。その人物がどのような信念を持っているのか、周りからどう思われているのか、などの情報を出してみましょう。

「旦那とＨがしたい」。言葉としての惹きもあり、主人公の強い欲求＝物語の目標となっていて、多くの読者がこの作品を理解できる構造となっています。デリケートな題材でありながらも、悲観的な感情をコメディとして昇華させていたのは高評価です。「なぜ旦那はＨしてくれないのか？」という謎を読者に提示できると、読者に続きの話数を読んでもらう可能性が高まります。

主人公の感情が丁寧に描きだされていました。また３話目にヒキのある絵を作り、読者を次話へと導入する流れもできていましたが、物語全体に係る興味を読者に提示されておらず、読み進められない可能性があります。本作では主人公の「恋心の成就」が目的となるのでなぜそれを達成できないのか、という「障害」を早い段階で読者に提示してましょう。